「山根さんっ!ねえ!」 どんなに声を掛けても、あたしの声は聞こえないみたいだった。 「か、和子、和子!ああぁ、和子!!」 「きゃっ」 「会いたかった、会いたかったぞ和子ぉ!皆は無事か?元気か?」 「ちょ、ちょっと…」 今度はたぶん奥さんの幻覚…… ちょ…っとびっくりする。 だってこんなにもきつく抱きしめられるなんて。