「手ぇ出せ!」 え? あたし? 岸に着けそうで着けないあたしを引き上げるため、少し先まで走ってくれていたんだ。 だけど、泳いでいる姿勢で手を伸ばすのは思ったより難しくて、水から手を出すと沈みそうになる。 頑張ってみても岸までは伸ばせなかった。 「先、行って!大、丈夫だからっ!」 「……っ!…………生きろよ!山根を引き上げたら戻るからな!」