「昇さん、降ろして!あたし泳ぐ!」 「無理だ!お前まで流されるぞ」 「そしたらツタでも投げて!」 「……1mだ…そこまで連れてく」 「わかった」 川岸に茂る細い枝が掴めそうな距離まできて、あたしは昇さんの背中を離れた。 体が濁流に押し流される。 途端に視界が狭くなって、胸が苦しくなるような不安が襲ってきた。 体が強張りかける感覚… だめ!びびってる場合じゃない! 泳げ!泳げあたし!