「山根えっ!」 「山根さん!」 流されてしまうかと思った山根さんが、ロープをたぐって筏のそばで顔を出した。 良かった…っ! だけど、筏に腕を伸ばしてもたれかかったまま、動かない。 自力で泳ぐだけの力はないってこと? 昇さんも阿久津さんも、あたしや向井さんを背負ってる… どうしよう! こうしている間にも、筏はどんどん流されていく。