昇さんの背中にぶつかりそうになって思わず声が出たのを、昇さんが振り向いてたしなめる。 「人がいる。ほらあそこ」 「ほんとだ」 「様子を見てくるから、少し隠れてて」 「えっ、怖いよ、あたしも行く」 「…気をつけろよ」 「うん」 行くのも怖いけど、置いて行かれる方がもっと怖い。 そう思って、あたしはそのままついていくことにした。