「ほら、食え」 「えっ、あっ、ありがとう」 降ろされたところでそのままボーっと立っていたあたしに、昇さんがクッキーのようなものを手渡してくれた。 「これ…」 「乾パンだ。知らないか」 「ううん、知ってる。昇さんは食べないの?」 「俺はお前と会う前に食ったからいいんだ」