たとえ遥琉が暇つぶしの遊びで私にちょっかいを出しているのだとしても、

私の気持ちはそうじゃないって伝えなきゃ。

もう、ごまかせられないぐらいのところまで来てしまっているから。

終わりにしたくないから、終わりにする。


まだ、帰りたくない。

ずっと一緒にいたい。

もっと話したい。

たくさん触れて欲しい。


遥琉が、


好き。


遥琉の気持ちがどうだとしても、今日、海で昔の話をしてくれたこと嬉しかったんだ。

本当はもっと前から。

卵焼きを作ったのが私だと当ててくれたこと。

髪型を褒めてくれたこと。

パパとの思い出を覚えてくれたこと。

遥琉は変わってしまったけど、変わっていないところもあって、彼の記憶の中にちゃんと私がいて。

まだまだ知らないことも聞きたいこともたくさんあるけれど、その前に私はちゃんと、


この気持ちに向き合いたいって思う。

この瞬間、明確に、自分の気持ちを自覚して受け入れる心の準備ができたから。

陽子さんや詩音さんのあの笑顔を見て同じ空間に私がいられて、

幸せだって感じられた今だからこそ、前を向ける。

「……わかった、」

遥琉は静かにそう呟いた。