「………」

電話……したいけど、そんなことしていいのかな……。

私と総真くんの認識ではすれ違いがあるってお兄ちゃんが電話で言っていたけど、私が手を振り払った理由を訊かれたら、総真くんの口から聞こえたことを言わないといけないよね? 

でもそんなこと言われたくないんじゃないかな……。

今は言えない、って、総真くん自身が線引きしていることだ。

そもそも、熱あるんだから寝ているかもしれないし……。

ぐるぐる迷って何も言えないでいると、那也お姉ちゃんが「えーと……」と口を開いた。

「私、碓氷総真のことって噂程度でしか知らないんだけど、どういう人なの? 羽咲ちゃん大好きなの?」

そういえば那也お姉ちゃん、この前総真くんと逢ったみたいだけど、お兄ちゃんが総真くんに怒って連れて行っちゃったんだっけ……。

お兄ちゃんは淡々と説明する。

「頭いいけどクソボケ野郎で、この前は羽咲のこと妹にほしいからくれって言われた。恋愛感情とお気に入りの区別もついてない小学生レベル」

「幼馴染のことバッサリ言い過ぎじゃない?」

お兄ちゃんの紹介に、那也お姉ちゃんが平坦な目になった。

って、総真くんそんなこと言ったの⁉ 私、総真くんの中でどんな状態だったの⁉

お兄ちゃんから聞いた新情報に顔が熱くなるのを感じていると、お兄ちゃんが私のスマホを頭に乗せて来た。