「――え」
「ずっと大好きだった人に告白――って言っていいのかわからないけど、すきって言われて、びっくりしちゃった？」
びっくり……うん、した。それは確かにあった。
でも、あのとき総真くんが近づくのが怖かったのは――……そうだ、怖かった、んだ……。
「……聞いちゃだめ、だったから……」
「？ なにをだ？」
うつむいて服の膝辺りを握る私に、お兄ちゃんは訊いてきた。
今、わかった。……ううん、本当はずっと思っていた。総真くんが、私がほしい言葉をくれていたから、見ないフリをしていた。気づかないフリをしていられた。
『うーの告白に答えられない』……応えられない、じゃない。答えられない。それが、今の私がほしい言葉だった。
「……総真くんは私に好きって言わない。だから、私は総真くんを好きでいられたから……」
だから、総真くんの口からその言葉は聞いては駄目だった。
「待て待て。意味がわかんねえ。お前、総真のこと好きなんだろ？ 総真もお前のことどうしてか意味不明過ぎるけど好きだってんなら、お前は万々歳じゃねえの？」
