俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】


……総真くん、熱のせいかな、いつもと様子が違う……。

「うー、俺ね」

総真くんが、少し怖いようにも見える顔のまま続けた。

私はその気迫に呑まれて何も言えないし、出来なかった。

ここはもともと総真くんのお部屋だけど、今、圧倒的に総真くんの存在がこの部屋のすべてだった。

総真くんが薄く口を開く。

「……………なんだよ、たぶん、はじめか―――」

ふらふら、ぼすん、と総真くんが布団に倒れこんだ。

………騒いだから熱があがったようですね。

風邪ひいてるのにあんだけ大声出すから……。

うまいこと枕側に倒れたから、上掛けを首元までかける。

顔を覗き込むと、瞼を閉じて寝息をたてていた。

……うん、この様子なら私ももう帰っても大丈夫そうかな。

本当はずっと傍にいたいけど……さっきみたいに、私がいるせいで騒がしくなっちゃう申し訳なさの方が大きい。

もう腕も離れているから、そっと部屋を出て行こう……。

「……うー……すきだよ………」

ドアノブにかけていた手が、ぴたりと止まった。