「~~~~~」
真っ赤になったのは美結さんだけで、総真くんはイラッとした顔になった。私は普通だ。
「想! うーの前でヘンなことするんじゃない!」
がばりと飛び起きて猛抗議の総真くん。
私は自分の顔の前で手を振った。
「慣れてるから大丈夫だよ」
「慣れちゃ駄目だと思うんだけど⁉」
叫んだ勢いで咳込む総真くんの背中を、膝立ちになってさすった。
子供の前でキスとか、うちの両親には、朝におはようを言うよりも当たり前のことだから。
「~~~もう想は! 私が告白する前とあとで性格変わりすぎなの!」
ヒステリーを起こしたように、想さんの腕をぽかぽか叩く美結さん。
想さんはキリッとした顔で応じた。
「どっちも美結のこと好きな俺だから大丈夫だ」
「そういう問題じゃないーっ! あんとき想が壊れたって散々私の所為にされたんだから!」
あらあらまあまああらまあまあ。そんなことがあったんだ。
お父さんとお母さんたちは、想さんと美結さんとは高校は別だから、お二人が付き合うようになったきっかけとかをリアルタイムでは知らない。
尚哉さんは同じ高校だけど、高校時代の話を訊くと玲奈さんとの惚気話にしかならないから……今度玲奈さんに訊いてみよう。
「……お前ら、うるさい」
ひゃっ⁉ 地を這うような声が聞こえて総真くんの方を見ると、ものすごく怖い顔をした総真くんがお二人を睨んでいた。



