「ありがとな、羽咲」
想さんは膝をついて、総真くんの顔を覗き込む。
「いえ。総真くんの傍にいられて役得です」
「総真も幸せ者だ。羽咲と総真は昼飯とか食べたか?」
「お昼はまだですけど、総真くん、プリンを四個食べました。食欲戻って来てるみたいです」
「……羽咲が作ったからだろうなあ」
「はい?」
想さん、今何か言った? 小さくて聞こえなかった……。
「いや、なんでも。今、羽咲の分も昼飯作ってくるよ。総真はそれまで寝かせておいていいか」
「あ、私は大丈夫ですよ」
一食くらい抜いたって――
「それは駄目だ。晃と司にあわせる顔がなくなる。……あ、それで動けなかったのか」
想さんの目が、布団から出ている総真くんの手に向いた。
がっちり、私の手を握っている。ちょっとだけ、私は苦笑い。
「なあ、総真と付き合ってないって本当か?」



