私を抱えたまま走り出した総真くんに、目立つ! おろして! と懇願したけど、笑顔のだめーで黙らされてしまった。
公共の道路を爆走して、街中の公園に入った。
そこでやっとおろしてもらえた。
「総真くん、大丈夫?」
「うん」
私を抱えて走って、全然息が切れてない……。
総真くん、集中してやってるスポーツとかはないけど、想さんと美結さんの影響でバスケやってるし、お兄ちゃんに空手の相手をさせられたりしているから、基礎体力あるのかな……。
総真くんに手を引かれて、公園内に置かれたベンチに座らせられる。
「さっきの人、先輩なんでしょ? あんな態度取っちゃ駄目じゃ……?」
「ああ、いいのいいの。あの人いつも軽い態度でからかってくるだけだから」
そうなの? 総真くんの交友関係だから、私が口出しすべきではないかもしれないけど……。
「……総真くんにしては珍しい態度だったね?」



