……心なしか桑島さんの声も低くなったような……。
「問題ないです。俺はうーさえいればいいんで」
「問題ありすぎな思考回路だわ。先輩じゃなくても心配になるわ。うさちゃん、こんな奴やめといた方がいいよとしか言えないよ?」
「うさちゃんって呼ぶな」
「じゃあなんて呼べばいいんだよ」
「呼ばなくていいし視界にも入れなくていいです」
「……もう付き合えよ。ああ、でも」
総真くに抱きかかえられている私の頭に、桑島さんの手が触れた。
「俺にしとくのもありだよ? 俺は大歓迎」
「うーは」
すっと、総真くんが身を引いた。
同時に桑島さんの手も離れる。
「あんたにはやらない。行くよ、うー」
総真くんの顔を下から見上げる格好になっていたけど、総真くんがにっこり笑顔で宣言したのが見えた。
ニコニコなんだけど、今まで見て来た笑顔とはどこか違うような……。



