「う、うー?」
「うーって呼ぶな」
総真くんからあふれる怖いオーラがどんどん増していく。
謎の人は「うー」の意味がわからないようで、瞬きを繰り返している。
総真くん、うーって呼び方が私を指しているとはすぐにはわからないって。
あと、さっき言ってたお兄ちゃんと同じ状況になってません?
「うーは俺のなんだよ。最初からずっと」
………。
ぽん、と手を打つ古典的な反応を、謎の人がした。
「つまり付き合ってる?」
「そうだったの⁉ 私知らないよ⁉」
総真くんの突然の暴露に、与り知らない私の間抜けな叫びが謎の人の言葉にかぶさった。
「え、彼女は承知してないの? お前の片想い?」
「とんでもない! 私の片想いですっ!」
「………? ごめん、なんかメビウスの輪にはまったみたいな感覚……ちなみにどちら様? 俺は総常高校三年の桑島敬一(くわしま けいいち)。総真の先輩」
圭一さんと同じ名前だ。
そして先輩だったのか……。



