踵を返そうとした総真くんを、謎の人が肩を掴んで止めた。
総真くんとこの人を友達かと思ったけど、それにしては総真くんの態度が悪すぎる……。
総真くん、初対面で態度の悪かった唯浜にも笑顔なくらいなのに……。
「離してください。気持ち悪い」
そこまで言っていいの⁉ さすがに関係悪くなるよ⁉
「だからお前なんで俺にだけ冷たいの⁉ ……ん、誰?」
そこでやっと私に気づいたのか、私を見下ろした謎の人が眉を寄せた。
何故か、総真くんが更に不機嫌な顔になった。
「誰はあんたですよ。うー、この人は気にしなくていいから。空気だと思っていいから」
「非道いが過ぎる! なに、総真の彼女?」
「………」
総真くん、心底嫌そうな顔をした。
……そうか。そう思われるのは嫌だったか――
「え、すっげ可愛いじゃん! 俺―――」
「はあ?」
へっ⁉ きゅ、急に総真くんから地を這うようなドスのきいた声が聞こえてきたよ⁉ 幻聴⁉
びっくりして見上げた総真くんは、え、総真くんって般若な顔も出来たの……? と、びっくりがただ増すだけの顔で謎の人を睨んでいた。
「うーのこと可愛いって言うな」



