「やっほー! 偶然じゃね⁉ もしかして運命⁉」
「……あんたと運命あってたまりますか」
ありゃ? 総真くんがすんと真顔になってしまった。
さっきまでニコニコ大魔王だった総真くんと、謎の人の表情が逆転してしまったようだ。
それから……総真くん、敬語?
置いてけぼりにされてしまったのでとりあえず頭の中に疑問符を浮かべることにした。
幼馴染組といっても、二歳の年の差は大きい。
更に私と水都ちゃん以外は同い年。
総真くんたちが先を歩いていて、私と水都ちゃんは「じゃあ後からゆっくり行こうか」というノリが結構あった。
総真くんたちとの間に、見えない壁は、確かにあった。
でも、ふと振り返った総真くんが、私たちが離れていることに気づいて戻ってきてくれる。
「早く歩いちゃったね」って。
まあお兄ちゃん景お兄ちゃんなゆお姉ちゃんは当然気づいていて、でも総真くんが声をかけてくれる方が私が飛び上がって喜ぶことを知っているから、わざと気づかないフリをしていた可能性もある。
玲くんは未知数。
……ということを、繰り返してきた。
だからと言うか、置いてけぼりにされるのは割と慣れている。
なんてことを考えながら総真くんと謎の人を見ていると、謎の人の頭をぺっと払った総真くんが私の腕を握った。
あ、あれ? なんか力強くなってません……?
「じゃあ俺たちはこれで」
「はっ⁉ なんですぐ帰る⁉」



