「うん」
「『那也さん』って呼んだら由羽に怒られた……」
あー……それは。お兄ちゃんらしいというか……。
それよりしょげる総真くん、可愛い。
「大丈夫だよ。たぶん私がそう呼んでも、お兄ちゃん怒るから」
まあ、怒られても呼ぶんだけど。那也さん? 那也ちゃん? 那也お姉ちゃん?
直後、うーむと考える私の脳内をカッ飛ばす勢いの大声が響いた。
「――総真!」
名前を呼ばれたと同時に、総真くんが険しい顔になった。
「なんだやっぱ総真だ!」
「いだっ!」
そしていきなり総真くんに体当たりする謎の人が現れた。
……今の大声もこの人?
総真くんと同じくらいの背丈で、髪は短め。
サッカーとかやってる人なイメージがぱっと浮かんだ。
それからすんごくニコニコしている。
よろめいた総真くんに、今度は抱き付こうとする謎の人。
体勢を立て直した総真くんは謎の人の頭を掴んで距離を取っているけど、謎の人は欠片もめげずにぶんぶん腕をぶん回している。
……総真くんの対応もどうかと思うけど、友達なのかな?



