「ない」
「はっきり言うねえ」
「本当だからねえ」
「そっか」
「うん」
……なんかほのぼのしてきた。この空気、好きだなあ。
それから、通り沿いのお店をのぞいたり、カフェに入ってゆっくりお茶したり。
今まで、みんなでやってきたことを、総真くんと二人だけで過ごした。
みんなと一緒なのも楽しかったけど、総真くんと二人きりというのは……私バチ当たるな、ってくらい、幸せだった。
……これといった目的地はなく、二人で歩く。その途中で、
「総真くん、ちょっとここで待っててもらっていい?」
「一緒に行かなくていいの?」
「うん、ちょっと買いたいものあったの思い出した。すぐ戻るからっ」
総真くんから離れて、一人で雑貨屋さんに入った。うん、これだ!
急いで戻ると、総真くんが困った顔で私を見て来た。
「総真くん! お待たせっ」



