「今日はうーに楽しんでもらいたいから」
にこっと笑う総真くん。
……もうこれで十分すぎるということが、どうして伝わらないんだろうか……。
なんか泣きたくなってきた……。
幸せすぎて。
総真くんは次から次へと、私を惑わす気でもあるみたいに思えてしまう。
手のひらの上で遊ばれているようだけど、そんな人生も悪くない! むしろ望むところ!
「あ、あの!」
声を張り上げると、総真くんは「どした?」と軽く首を傾げた。
純粋でキレイな総真くんの目は輝くようでまっすぐに見ることが出来なくて、自分の足元を見てしまう。
でも、それでやっと口にすることができた。
「お、お任せするって言ったそばからなんだけど……」
「うん?」
「もう、少し……このまま歩いてても……いい、かな……?」
総真くんが今、私の隣にいて、私と総真くんの人がいないという現実を……もう少しだけ、独占してみたい……。
きゅっと、総真くんの握った手に力がこもった。
「うん。俺もそうしたかった。少し歩こうか」



