うう~っ! こうしているだけで十分すぎるほどなのに……!
「い、一緒にてくれるだけでご褒美になっているので……これ以上望むとバチあたりそう……」
本気で私、今日が命日だと思ってるから。煉獄の炎に焼かれても平常心で成仏できそう。
「このくらいでいいの?」
斜めに見下ろしてくる総真くんは、不思議そうな顔だ。
でも、全然不思議なことじゃない。
「……大好きな人と手を繋いで歩けるなんて、前世の私はどれだけ徳を積んだのか思うほどです……」
「徳……」
総真くんが間の抜けた顔になってしまった。かわいい。
それから、うん、とひとつ肯いた。
「じゃあ俺がエスコートさせてもらおうかな」



