「そうなの! 総真くんは尊いの!」

力説すると、総真くんは足を停めてしばらく固まったあと、小首を傾げた。

「俺……普通の人間だよね?」

「その通りだけど、私には総真くん以上に素晴らしい存在がないってこと!」

こぶしを握って力説すると、総真くんはおかしそうにぷっと噴き出した。

「大袈裟。うーの周りはすごい人たくさんいるよ」

私を見て目を細めて言ってから、総真くんまた正面の方を向いた。

「そうかもだけど、私が一番大好きなのは総真くんだからっ」

確かに、すごい人はたくさんいる。

お兄ちゃんや景お兄ちゃんは基本万能だし、玲くんは面倒見がよくて優しいし、なゆお姉ちゃんはしっかり者だし、水都ちゃんに至っては天使の具現化だし、お父さんやお母さん、そのお友達もみんないい人ばかりだ。

それでも、私の一番は生まれた時から総真くんだ。

「うー、俺のこと好きなんだねえ」

「うん!」

大きく肯くと、総真くんは嬉しそうにはにかんだ。

こんな風に大好きな人に大好きって伝えられるって……幸せだなあ……。

「そういえばうーは行きたいとことかある? 今日はうーへのご褒美の日だから」