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「よっ、つか――」

「図書室では静かに」

「……はいはい」

「はい、は一回」

放課後、学校の図書室でテキストに向かう私の隣に、一人の男子生徒が座ってきた。

さすがに目立つよ~、と水都ちゃんに言われて、ハチマキは教室と家でだけすることにした。

「なんか気合入ってんな。そんなに俺に勝ちたいの?」

横目にちらりと見ると、頬杖つきながらにやにやとこちらを見ていた。

唯浜(ゆいはま)(ろん)

同じクラスで、学年トップクラスの成績をとるやつだ。

総真くん以外の男子は芽の出たジャガイモに見える私にはわからないんだけど、なんか女子に人気があるそうな。

あ、玲くんはちゃんと人間に見えてるよ。めっちゃいい人。

「別に唯浜に勝ちたいわけじゃないよ。満点一位とりたいだけ」