愛は惜しみなく与う④

「はぁ、動揺した兄さんも見れた事だし、もういいかなぁ。今頃どうせ、silver KINGの奴らは烈火に負けてるだろうし」


「まて、大和。さっきのことは」


さっきのことは?それを聞いて、俺はどうしたい?大和がただ俺を動揺させるために言っただけだ

そうだ

こんなことで動揺するな、俺


そんな俺を嘲笑うかのように、大和は俺の腕にそっと手を添えて言った



「本当だよ?本人は知らないみたいだけどね、まだ。喜ぶのかな?妹が生きてたって知ったら」



血の気が引く
なんでこんなに、震えるんだ

妹が生きてる?杏の妹が?



杏は


それを



喜べるのか?



頭の悪い俺でもなんとなく、嫌な予感は感じ取った


もし大和が言うことが本当なら、杏の妹は……

もし生きてるなら
 



それは杏の味方ではないだろう


泉に伝えるか?あの執事に言うか?杏には…言えねぇ



必死に頭を使っていると、脳に衝撃がくる



「いって…」


「お返しだよ、兄さん」