愛は惜しみなく与う④

という俺も、大して知らないけど

でも

杏がいい奴なのは知ってるから



「兄さん、あの金髪の子が好きなの?必死だよね、ほんと。烈火もそうだけど」


「杏は仲間だ」


そう
俺が好きだとか、そんなの関係ない
杏がみんなに向けてくれるあの笑顔や優しさを、守りたいだけ



「その子、人のこと刺してるんでしょ?死んでなかったからいいけど、死んでたら殺人犯じゃん」


…大和は誰に何を聞いたんだろうか


刺したって確か、サトルってやつの事だろ?


はぁ


「俺のこと動揺させたいのか知らねーけど、あんまり知った口叩くなよ。俺はあの頃、お前らのこと、刺せるなら刺し殺したいくらい、嫌いだったよ」


そうしなかったのは、勇気がなかったし
その気力がなかった

もし今……あんなに幼い時じゃなければ


自分の意思で刺してたかもな


それはわかんねーけど


動揺させるつもりなら間違ってる



「おもしろくないね。もっと動揺すると思った。さっきみたいに、感情剥き出して殴りかかってくるかと思った」