愛は惜しみなく与う④

周りの7人がパッと動くが、大和が片手を上げてそれを制する


「随分焦ってるね。詳しくは聞いてないけど…厄介な女の子らしいじゃん。家庭環境が複雑で?なんだっけ?妹が春に…」


頭に血が上ると手が出る癖は治らない

思いっきり大和の右頬を殴るが、胸ぐらは離さない


「大和さん!!」


後ろから駆け寄ってきた男を蹴り飛ばし、大和を引きずる


大和をここで殴ってなにになる?
俺の心はスッキリするのか?
でも、殴らないよりはスッキリするか


「まて、お前ら」


口の端から血を流しながら大和は声を出した。
へぇ…すぐ泣いてうっさかった大和が、殴られて血が出ても、平気な顔するようになったんだな


「助けてもらわなくていいのか?」

「ははっ先に聞きたいことがあるだろ?俺のこと殴っていいの?話聞いてからボコボコにした方が賢くない?


まぁ、それはそうだけど


「お前の方から、杏の話がでてくるだけで、吐き気がするから、無理かも」


こいつに、杏のことを何も知らない奴らに、杏を語られたくない

汚れる気がするんだ