愛は惜しみなく与う④

「車から飛び降りて、逃げまわってて…携帯充電ないし…連絡できずに。撒きながらここに戻ってきた」


なんでやろ
朔は帰ってきてくれたのに。

あたしでも車から飛び降りたり何回もしてるし、わかるんやけどさ、そーゆう状況



でもなんやろ


この胸騒ぎは



「ごめ!俺ついて行ったらよかった」


泣きながら響は朔に飛びつく。朔はケタケタいつも通り笑ってる


「俺がこんなんでくたばる訳ないだろ!アイスは買いそびれたけどな!ガハハハ」


いつもと変わらへん
わかってる

でもさ



「なんか、おかしい」


聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で、あたしの本音は口から漏れる

それを聞き逃さないのは志木だ



「……車が行った方向。時間はかかりますが、防犯カメラをあたってみます」



ありがとう。ごめんな、志木
志木も忙しいのにさ

でもなんかすごく、嫌な予感がするねん


朔の笑顔みてたら


泣きそうなるねん



「おい、朔」


泉が響を引き剥がして、朔の真正面に立つ



「なんか、あったろ」