愛は惜しみなく与う④

「……烈火の総長に、死んだのは姉の方だって、さっき言っちゃったんだけど」


まずかったか?と
馬鹿にするような言い方

そして


泉にそれを言ったんですか?



「あの驚き方からすると、何も知らないみたいだったけど……あんなに身を削って守ってる奴にも、嘘つくんだな」



何かで殴られたような衝撃を受ける

嘘…になってしまうのか

杏様の悲しい覚悟と決意は


はたから見ればただの


嘘になってしまうんですね



「あの烈火の総長、厄介だなぁ」

「泉に、何かするなら…私はあなたをここで消しますよ」



ここで泉を失うわけにはいきません。
杏様が死んだなどということを聞いても、泉は1番に杏様のことを考えてくれていました


だから



「ごめん、話ついた?」



ドンと扉をあけすぎて、ドアノブが壁に当たり大きな音を出した


「志木?大丈夫?顔色悪い」


何も変わらず杏様は近づいてきて、私の頬にそっと触れた


「……熱ないけど、気分悪なった?休む?」


私はその小さな手を掴む