愛は惜しみなく与う④

ほんと、私は泉という人間がたまに恐ろしくなる。

あまりにも真っ直ぐだから


「杏を傷つけないようにってゆうのは、分かるけど。杏に関係ない話じゃない。あの子も知る権利はあるし、あの子と一緒に…

俺たちが悩んであげなきゃいけないはずだ」


俺たちが決めていい事じゃない


「俺はただ、状況把握をしたくて、志木さんに声をかけたんです。決して、俺たちだけでなんとかしようなんて思ってません」


「……どっちも傷つく結果なのに、どうして杏様に言えるんですか?」


「…どっちも傷つく結果だとしても。杏が決めた道を支えてあげたいから」


そして最後に言った





「杏は、そんなに弱くないよ」



そう笑った泉は、不安と強い覚悟が入り混じった、そんな顔をしていた


そして水瀬のいる部屋に戻っていった



覚悟ができてないのは私の方でした


この事を終わらせるのに、杏様が傷付かずに終わる方法なんて、無いのは分かっていたのに


私は、杏様を傷つける覚悟が持てなかった