愛は惜しみなく与う④

水瀬の目線は志木さんに注がれた


「本当に昔から厄介だよ、お前。執事だかなんだか知らないけどさ…」


ククククと笑いながら水瀬は立ち上がる
志木さんと杏に、目線がいかないように間に立つ


「あの日、お前も殺しておけば、こんなに手こずらずに済んだのに!!!!!」


叫んだと同時に水瀬が何かを投げる 
分からないけどそれに、咄嗟に手を伸ばして、志木さんに飛んでいく何かをキャッチして気づいた


「いてっ」


その何かは、俺の掌を傷つけた



「ちょ、泉!!」

バッと杏が俺の手を引き、掌を見ると、血がでている。
何だ?何かの破片?

もう、助國さん、何持たせてんだよ…


「大丈夫?待って、ここ病院やし、包帯あるやろ」

杏が焦るけど、今はそこじゃないから。
大丈夫。そう言ってあたふたする杏を止める



「赤羽組に東堂をけしかけて、何がしたいんですか?摘発されるのを早めたいように思えますが。理由が分かりません。あなたに…スコーピオンに何か利点があるのです?」


無表情の志木さん。
怒ってる

そんな風に思えた