愛は惜しみなく与う④


「どうかした?」


あたしの部屋に入り、志木を見ると、志木がよくする顔をしている。
困ってる。あたしに言いにくいことがあるとき、いつもこの顔をする

そんな顔せんでええのに

志木があたしの代わりにいつも悔しがって、悲しがってくれるから…


あたしは冷静でいられるねんけどな





「経営計画報告会が、3日後行われます」



避けては通れへん道。
きっと志木は黙ってようと思えば黙ってれたと思う。
きっと、あたしが行けへんかもとかゆうたら、母上が暴れたんやろうな

今、東堂に潰れてもらったら困るもん


まだあたしは覚悟できてないかもしれへんけど、しっかりと継ぐことは決意してるから。

訳のわからん報告会でも参加するよ




鈴として



「わかった。明日の朝一に出よか」


なんでそんな泣きそうな顔するんよ。あんたがそんなんやから、あたしは強がってしまうんやで



「如月冬馬、会えるかもしれへんにゃろ?」

「……はい。出席票には名前はなかったんですが、如月家の者も来ます。連れ添いでくる可能性はあります」