愛は惜しみなく与う④

物凄い音が鳴り案の定、下の階から、階段を駆け上がる音が聞こえた

杏もすぐに、しまった!!という、あからさまな顔をした


遅い遅い……

志木さんは、そんなことは気にしないのか、床に落ちた水瀬の腕につながる点滴をサッと抜いて、点滴の線が杏に絡まらないように施す

うん

なんかもう

どうにでもなれ



「誰じゃぁぁ!ワシの病院を荒らすのわぁぁ!!」


ドカンと音が鳴り、部屋に飛び込んできた助國さんは、片手に鉄砲…
おいおい、大丈夫かよ


1番ドアに近い俺を見て、目を丸くする助國さん。そして助國さんの顔を知らない志木さんは

忍者のように動いて

助國さんの後ろに回り込み、手から鉄砲を奪いそして……



「少しの間眠っていてください」



助國さんの首に向かって、手を振り上げたから、必死に飛び込んで止めた。

ほんと、やめてほしい


すぐに気絶させようとするの!!もう、マフィアだよ、この人!!



「志木!!その人が助國さん!今すぐその手を離し」


杏の一言で志木さんはパッと助國さんから手を離し、落ちた鉄砲を拾い、そして、それを助國さんに手渡す