愛は惜しみなく与う④

もっと早くに声をかけてあげれたらよかったけど、ちょっと聞いていたいって気持ちもあって、申し訳ないことをした

すぐ助けてやればよかった


テクニックでもあるの?と女が卑しい顔をして尋ねたが、杏はもう、頭の中がいっぱいいっぱだったんだろうな


「それなりに場数は踏んでるけど」


そう答えたとき少し声が漏れた。流石に笑ってしまう。早く止めてやらなきゃって思うのにな。
ちょっと面白くて…さ

杏にはこの類の話はしないでおこう。


もうあんたら嫌いや!!


そう叫んだから杏のところへ行く

ごめん。


杏の口から、俺の話を聞けて、嬉しかったんだ。
女の嫌な話なんて耳にも入らない。

ただ杏が俺のために一生懸命だからさ。


ちょっと見てたかったんだ。心地良かったからさ。杏は必死だったけど


遅くなってごめん。一瞬でも杏を置いて行ったこと、許してくれ


近くに行きありがとと言うと、ビクっとして振り返って…

「ごめん、ちょっと悔しくて喧嘩した」

しょんぼりと謝ってくる。
愛おしくて抱きしめたい衝動に駆られる。

我慢我慢


忍耐力が強くなりそうだな〜

俺がこんな風に思われてるなんて、知らなかっただろうな。
慣れてしまったから、あまり気にならなかったけど

それを悔しいといってくれる子が居るだけで、俺はもうそんな嫌なことも吹っ飛ぶんだ


杏のおかげだよ。