愛は惜しみなく与う④


扉を開けると、カーテンのかかったベッドがひとつだけ


そして声が…


「なんだよ、あの日の続きでもしにきたのか?」


少しかすれた声がした。
その言葉はすぐに、杏に向けられた物だと分かった。
俺がそう理解する前に…

志木さんが動く


カーテンを開ける音

そして志木さんの手は、水瀬の目元を覆い、もう片方の手は首に添えられた


その行動は早すぎて目で追うのがやっと


「血の気多すぎや」


杏はため息をついて、後ろから志木さんの肩をポンと叩く

志木さんが暴れたら俺1人じゃ無理だから、杏が冷静で助かった


そう思ったのも束の間……



「なんだよ?男も来たのか。あいつは?朔はどうしてる?俺も直接絶望する顔が見たかったよ」



こいつ…
イラッとして身体が動いたが、目の前の光景を見て、身体が停止する



ドカッ


「お前のしょーもない欲望に、朔を巻き込むな!!!!」


杏は志木さんを押し退けて、水瀬の胸ぐらを掴みそして…


ベッドの下に引きずり下ろした



そして冒頭に戻るわけ。



「言わんこっちゃない…」