愛は惜しみなく与う④

「ありがと」


耳元で小さく一言そう言ったのは、不機嫌になって先に行ってしまった泉だった


あーー聞かれてた?
どこから聞いてたんやろうか


後半のしょうもない話は聞かれても別にええけどさ…前半は聞かれたくなかったな

あんな女の言葉、泉に聞かせたくなかった
立場やステータスだけで好きだという女の言葉を……泉には聞かせたくなかったな



泉のことを見ていない女達


そら嫌いになるわ


総長やからなんやねんってな。泉は泉やのに



「ごめん、悔しくてちょっと喧嘩した」

「ん、大丈夫」


ほらな?優しいやろ?分かりにくいけど口角上がって、笑ってる

大きい手があたしの頭に乗る


クールでかっこいいとか言われてるけど、クールじゃないよ。むしろ甘々なやつや

朔と響なんて、甘やかしてもらっとる。もちろんあたしもな。


「帰るぞ」

「あ、うん」


泉に手を引かれて場を離れる。もっと言ってやりたいことがあったけど、泉が来たし、すんっと気持ちは落ち着いた


「い、泉くん!!」


女の声で泉は足を止めた