愛は惜しみなく与う④


ふざけんなよな
囚われて、身動きできひん状態で、もがいてるのは、あたしやのに


「とりあえず…行きましょう」

チラリとあたしの様子をみて、眉を下げた志木は、車のキーを回してエンジンをかける



「助國さんに、まだ病院に来るなって言われてるから、ちょっと静かに話せる?」


「……多分?」


自信はないけど。静かに話せる。

あたしが多分と答えると、泉はだよなーって苦笑い。ごめんやん


「杏様に静かにしろって言うのは、ナマコに芸をしろと言っているようなもんですよ」



……はぁ!?!?

すました顔で運転する志木から、とんでもない言葉が聞こえてきた。

なんて失礼なやつや


「な、ナマコ…」

「泉!!笑うな!!」


志木の横腹を指先で刺した。
うっと小さな声を漏らした志木は、フル無視する。


「大丈夫!あたしだって声小さくできる!」


ほんま人をなんやとおもってんねん!!それくらいできるわ!子供じゃないねんから!

むかつくし2人とも睨んでおく


志木と泉のクスクスといった笑い声が車の中で聞こえた


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