愛は惜しみなく与う④

女が加古に、佐野と烈火が来てると連絡したらしい。
それでこの短い時間で、加古が動いた。

とりあえず、杏を探さなきゃ


「2人ともどっちへ行った?」

「あそこに停めてあった黒い車に乗って、商店街と反対の方向に走っていった」


佐野が指を刺すのは、コンビニの前


「おい新、まだか」

「もう着きます。皐月と杏は?無事ですか?」

そうか。俺はなにも言わずに、おおかた片付けて、こっちへ駆けつけてたのか



「佐野は無事だ」


「……杏は?」


「加古に連れて行かれた」


言葉にするのも吐き気がする。自分の不甲斐なさを痛感した

ただここで嘆いて終わりじゃない

杏は、俺を信じて加古について行ったんだ。すぐに見つけ出す

1分もしないうちに、新が来た。
皐月をみて、少し泣きそうな顔になった。


「私が…杏に皐月を守ってくださいと言ったから…」

「口に出すな。後悔すんのはあとだ。そこのコンビニの前に停まってた車に、加古と杏は乗った。調べろ」


祭りで交通規制もある
だいたい絞れるはずだ

そして何より、遠くへは行かないだろう

加古は俺をおびき寄せたいんだから