愛は惜しみなく与う④


「そういえば、向こうでは何事もなく過ごせてる?」

「うん!大丈夫だよ。友達もできたし…楽しいよ」


皐月の笑顔を見て安心した
嘘はついてないね。
一瞬でもあんなに虐められたら、学校なんて嫌いになってしまうんじゃないかって、心配していたから


凰牙の加古に泉が勝って
落ち着く間も無く、いじめが始まったから


「もうね、みんな優しい人たちばっかりで、楽しいよ。心配かけてごめんね」

「いや、皐月が謝ることじゃないよ。大丈夫ならいいんだ」


引っ越す時は、何もしてあげれなくて心苦しかったからさ。

そして皐月は、ハッと何か思ったのか、不安そうな顔で俺と朔に聞いた



「杏ちゃんも…虐められてるの?」



それは皐月だからこそできる、ストレートな質問だった

皐月は優しいね


「大丈夫だよ。杏ちゃんは、ちょっとやそっとじゃ、折れないから」


普通の子ならきっと、耐えれないし、皐月みたいに少し心を病んでしまうかもしれない

だけど杏ちゃんは、強いから


「そ、うなんだ。強いね、杏ちゃんって」