愛は惜しみなく与う④

『あぁ、嬢ちゃんの話が出来ないのに違和感があったのと、あと…蕪木組から、ハザマが消えた』

少し言いにくそうにその名前を出した

ハザマさんが?消える?


「どういうことだ?またいつもの、家族サービスじゃなくてか?」

『そうだ。ゴトウが連絡つかないと言ってる。今まで俺やゴトウの連絡には必ずでていたのに』

「なにか…あったんじゃ?」

『……それが。お前ら組の修繕作業手伝ってただろ?そのときに、朔が居なくなったって』


そうそう
俺たちは、組の穴の空いた壁や、壊れた家具、荒れた庭を掃除するために
俺と杏、響とそして朔の4人で、組の片付けをしていた


それで…何か大切なことを忘れてる気がする


あのとき…
朔が居なくなったって聞く前

俺はなにをしていた?


『ゴトウが、その日、嬢ちゃんとハザマの様子がおかしかったって言ってる』


そうだ!
そう
あのとき、杏はハザマさんと飲み物を取りに行くとかで、2人で俺たちの場所から離れた。