愛は惜しみなく与う④

頭を下げる志木さんの肩に触れる

分かるから
俺だって同じ気持ちだから

想像しかできないし、杏がどんな気持ちなんか、俺が理解してあげる事はできないけど…

これだけは分かるから



「妹の話は…何があっても、杏に知られないようにしましょう。それだけは、必ず」



壊れてしまうから
杏のすべての頑張りが

無駄になる瞬間だと思うから

復讐自体、無意味なものになってしまう


妹がどういう立場で、どう思ってるか、理解もしたくないけど…

でも


もし生きていて、杏を大事に思うのなら、こんな状況になる前に、姿を見せるはずだ。

死んだ事になっているまま、生きるなんて


そんなのできない



「なぁ、志木さん?」

「はい、なんでしょう」



「杏が…死んだなんて言うことは、ないですよね?」



自分でも何聞いてんだ。そう思う。
だって目の前に杏はいるから。
あの日、俺を路地裏で助けてくれたから。

俺のそばで笑ってくれたから。


そんなこと言うのは馬鹿げているし、質問として成り立っていない。
そんなことは分かってるけど

自分の中で押し留めておけなくて、聞かざるを得なかった