『先に手にかけてしまうかも』
悲しそうな顔をして志木さんは笑った
どうしようもない感情におちいる。
もしかしたら、その方が杏にとっては、幸せなのかもしれないと、俺も思ってしまった
「俺は…あなたを待ってる間、何をすればいい?杏はきっと、朔のことが落ち着いたから、本格的にスコーピオンの事を探るはず。サトルを見つける事よりも…
杏が、あの日の事件を見直したらどうなる?違和感に気づくと思う。今まで見ないようにしてたけど…」
そう
杏は自分でも言っていた。
あの日のことは一度も振り返っていないと。事件になったが、その証拠や、当時の残された動画や写真
それらを見直していないと
杏は自分の目で見たことだけを信じている
だから…
「杏様が、新しい目であの日の事件を調べるなら…違和感に気づくと思います。そして、何かに…たどり着くかもしれない」
志木さんは立ち上がり俺の目の前にきて、頭を下げた
「もう少し時間をください。鈴のことは…できれば先に片付けて、杏様の耳に入ることを防ぎたいです」



