こんなしょーもない関係だったのに
杏は真剣に考えてくれて…

杏は誰にでも真っ直ぐぶつかっていく

俺はそんな杏が好きだけど、たまにどうしようもなく、惨めな気持ちになる


「綺麗すぎる」


自分が思ったことを美波が呟いてびっくりして美波を見た

美波は少し困ったように笑った


「あんな女の子がいるなんて、女として勝てる気がしないわ」


そう言って美波はグーンと背伸びをして、座っていたベンチから腰を上げた

一度杏の真っ直ぐさや、心の綺麗さを知ると、他の女の計算づくされた行動や発言が、気持ち悪く感じてしまう

それくらい、杏の影響ってすごい。


「美波も、一部の層からは人気なんじゃね?」

「ねぇ、それ褒めてないんだけど!」

 
そして最後にキスしてくれと迫ってきたが、普通に断れた。気持ちも揺らがなかった

ちぇっと笑うだけの美波は、ある意味強い


美波の家はここから近い。家まで送って別れた


改めて思った

まだ気持ちを伝えるには遠すぎる

今は想うだけで、幸せなのかもしれない



はやく、杏の家に帰りたいな


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