愛は惜しみなく与う④

あとでな!朔にそう言って歩き出すと、またまた大きな声が聞こえた



「俺、好きな人できたから!!!!」



……アホなん?
何をでかい声でゆうてんねん
てゆうか、断る口実に好きな人できたって、よくあるやつやん…

そんな朔の言葉を聞いて、女はウワーーンと、泣き出した


やれやれ



「あんたら、こっち来い」


道路の真ん中であたふたする朔と、泣きじゃくる女の子を引きずるように、近くの公園に入る

朔は、杏かえろーぜ?なんて言う始末


「あのな!あたしはあんたらが、何処でどんな恋愛してんのかなんて知らんし、興味もないけど!慧もそうやし、朔も!!!」


この前の、桃香の事件もそうやった。あの池田の妹な?慧のこと好きやったあの女の子。

あたしはそんな恋愛ってしたことないけど、これだけはわかる


「一回は気持ちがお互いあったんやろ?好き同士やったんやろ?それなら最後の最後までその気持ちの面倒みろ。こんな風に納得できずに押しかけてこさすな。これはあんたが悪い」


隣にいた女の子は、目を真っ赤にしたままポカーンと口を開けてあたしを見ていた