愛は惜しみなく与う④

実際、俺の親父が、養子縁組に首を縦に振ってくれたのは、本当に最近。

親父が東堂の病院に行ってからだ


好きにしろと言われたものの、書類は用意できたが、俺の親父はその時はハンコは押してくれなかった。
家は何とでもなるから、先に、朔の家の方を片付けようと思った。けど…

ほんと、俺は朔の父親が嫌いだ。
あいつら他人を煽るスキルだけは、一丁前だった。

なぜ朔を手放さないのか
よくわからなかったんだ。

だって愛はない


俺からみても、朔からみても、誰がみても、そこに愛はなかった。


だから、少し期待したんだ。
朔のことを心配して探しに来てくれるんじゃないかって。

だってそうじゃなきゃ、あまりにも…悲しい話だから


でもそんな事もなく、あいつらが朔を探す事は一度もなかった。


そして俺が初めて朔の家に行った時、俺は暴力事件を起こしかけた。
当時は若かったのもあるけど、抑えれなかった。

あいつらのクズさを目の前にすると。

朔の父親は借金がある
女の方も借金がある



『何かあった時、子供に責任がいくだろ?だから朔は都合がいいんだよ』



あいつらはそう言ってのけた

その瞬間はまぁ、わかるだろ?気づいたら、普通に胸ぐら掴んでたよな