愛は惜しみなく与う④

ドケ

それだけ言って俺の手を引いて家の中にズカズカと入っていく

待てよ!

俺の声なんて聞こえないのか、一切止まらない


『騒がしいな。またあいつか?』


声で気づいたのか父親がリビングから顔を出す。そして、俺と泉をみて、明らかに不機嫌な顔になった

俺は家に友達なんて連れてきたことはない

こいつは友達でもないけどさ

てゆうかまじでこいつ!!!

俺の手を掴む力が強すぎる


『誰だい君は』

『……虐待してんのか?いつからだ?』

『お、おい待てよ』

こんなこと今まで無かったから。
誰かがこの腐った家族に口を出すことなんて、今まで一度もなかった

俺の虐待を問いただしてくれる奴なんていなかった


だから俺はどう反応すればいいのか分からなかった


『…礼儀のなってない子だね。出て行きなさい』

『何言ってんだよ。言われなくても出て行く。だから荷物取りに来たんだ』

『君1人で、出て行くんだ。朔!!!』


大きな声で名前を呼ばれ、身体がビクつく

そして低い声で続けた


『家の中に入れ』と