愛は惜しみなく与う④

『なに?こいつらにやられたの?』

『え、まぁ…それもあるかな』


そう答えると、加藤さんや、チンピラはアタフタし出す
えっと…泉ってもしかして、やべぇ奴なの?

泉をチラリとみるとやはり、口の端が切れている。


『喧嘩したの?』

今この状況で聞くことでは無いとは思ったけど、ついつい


『あぁ、これ?親父にやられた。絶対次は泣かす』


え?親父に?


泉も…暴力を?


『……ん?帰るぞ』


俺が口を開けてぼーっとしていると、少し間を開けて、泉は言ったんだ。
帰るぞと

よくわからない
帰る?


『どこへ』

『家』


その短い言葉しか返ってこなかった。
家に帰る?俺の?

俺の家なんてないのに


『帰る家なんて、ねーよ』


そう吐き捨てるように言った
こいつはなんで絡んでくるんだろう。
高校生と喧嘩するような奴なんだろ?
俺に構ってる暇ねぇだろ

そんな俺たちの後ろで
チンピラたちが話す


『案外ヤれそうじゃね?こっち5人いて、朔はボロボロいけるだろ』