『おいおい、邪魔だよ、どっかいけ』
チンピラに肩をドンと押されたのに
泉はぴくりとも動かない
そんな泉の顔をまじまじと見ると、目の下と口の端が切れている。
喧嘩してきたのか?
整った顔に傷がついていてとても目立つ
『お、お前はあの時の』
加藤さんは泉を見て少し震えたが、何せ周りにはチンピラが4人もいる
しかしその中でも泉は顔色を変えない
『探した。家にいないから』
…?
1日待てるか?ってそう言えば聞いてきたっけ。
いや、よく分からないけどさ
さすがに外にずっと居ねーだろ
声を出したいけど気持ち悪くて声も出ない
『…??話せねぇの?お前らなんかしたろ』
いや、どう考えても何かされてるシチュエーションだろ?
頑張って体を起こそうとするが、どうにもこうにも力が入らない
そして1人の男が泉を指差して言った
『や、やっぱり!お前…あ、あの…蕪木泉??やべぇよ!』
1人が騒ぎ出したことによって、周りもざわつく
蕪木泉?こいつのフルネームか?
『……高校生相手に喧嘩してるって噂の…小学生?』



