愛は惜しみなく与う④

俺がお母さんの子供だったなんて証拠
もうどこにもない


『おい、朔、ツラ貸せよ』


おわった
加藤さんにやられるのも、しゃくだけど
終わらせてくれるならもう、誰でもいいや


『おいおい、加藤!こんなボロボロのガキ興味ねぇんだけど?』

『違うんですよ!ストレス解消くらいにはなりますよ?それにこいつ、万引きもやるんで、パシって下さい』


まただ
加藤さんは、すぐ俺を売る
そういやこの人について行ってたけど、この人が俺のために体を張ってくれたことなんてなかったな…


『おい、ガキ!喉渇いたのと、雑誌読みたいから、そこのコンビニで取ってこいよ』


ほら

そう背中を蹴られて、足がコンビニへ向かう


もう何もかもがどうでもよかったんだけどさ?
せっかくお母さんに胸を張って会えるように、悪いこともやめたのに

ここでしてしまうのは

ダメなんじゃないのかなって思った

もう望みもないけど
こんな風に、終わりたくないなって


『すいません。俺にはできません…』


頭を下げた
もうわかんないけど

これ以上自分に嘘をつきたくない