愛は惜しみなく与う④

加藤さんのまわりには、見たことない人たちが。加藤さんと同じ中学生だろうな

みんな体格もしっかりしていてそして
見るからにやんちゃそうな…

今会いたくない

そう思って背を向けたが遅かった


『おい、朔じゃん。久しぶりだな』


肩を掴まれる。
最悪

今はもう会いたくないんだよ

無視して歩き出そうとすると、痛い方の腕を思いっきり掴まれて声が出た


『は?お前ボロボロじゃん?怪我してんの?』

『大丈夫です』


加藤さんの腕を振り払って歩くと、横のショウウィンドウに、自分の姿が映る

ふっ
笑えるよ

そこに映る自分の姿を見て笑ってしまった。

そこには顔に殴られた跡も残り、服はボロボロ、腕はだらりと伸び
生きてるのか死んでるのかわからない顔をした自分がいた

そりゃこんな姿見たら
周りも引くか


帰ろう


いや、どこへ?


帰る場所なんてどこにもないのに


帰る場所もないなら、もう、生きてても意味ないよな?
お母さんも、お母さんとの思い出も


もう消えそうだ

唯一の繋がりも、もうない