愛は惜しみなく与う④

俺が倒れたら、何事もなかったかのように、家に入り父親と大和の姿も見えなくなった

大和が学校に行って
2人が仕事に行ったら

家の中にはいろう

もしかしたらまだ他の写真が残ってるかもしれないし…
全部燃えてなかったら、繋げれば元に戻せるかもしれない


もう俺の中でそれだけが…お母さんの存在だけが、支えになっていた


だって愛されてたから

俺に唯一愛をくれた人だから


忘れるなんてできないんだよ


静まった家に入りリビングをみるが、写真の残骸もないし、なんなら昨日暴れた跡も残っていない

俺なんて居なかったみたいに、跡形もない


『はは…ほんと笑えるよ』


俯きながら蔵へ向かおうとした時、異変に気付いた

何の臭いだ?そう思い蔵の方へ早歩きすると、目眩のする光景が飛び込んできた



『なにしてんだよ!』


そう叫んだけど遅い

あの女がニコリと笑い、引っ越しの時に持ってきた、少ない俺の荷物を

燃やしていた


あの中には思い出が
辛かったけど、お母さんとの思い出のつまったものも、残ってるのに!!